避妊・去勢の必要性 ペットの不妊処置については、いくつかの方法もあり、これについての考え方も様々だと思います。しつけについて相談を受けると、しばしば不妊処置(避妊手術や去勢手術)を施すべき事態も多く見受けられます。今でも、「自然にあるものを・・・」とか「病気でもないのに・・・」とか考えられる方もいます。少し学術的ですが、、、、<去勢の必要性> 雄性ホルモンはアンドロゲンと呼ばれ、精巣から分泌されるステロイドホルモンであり、副腎からもわずかに分泌されています。犬にとって雄性ホルモンは一年中分泌され、マウンティング、交配、メスを探し求める行動、匂いつけをするマーキング、攻撃などの性行動に影響を及ぼしています。アンドロゲンに属するテストステロンは、筋肉発達(特に首周りや肩の筋肉)などの二次性徴に影響を与えるため、性成熟期前に去勢をすると、犬のサイズは通常小さくなりがちだと言われています。去勢を実施すると、雄性ホルモンが減少し、永久に繁殖能力がなくなります。去勢後の行動変化はすぐに表れるとは限りません。なぜなら、マーキングや攻撃などの性行動に影響するのは、ホルモンだけではないからです。すでにそれらの行動が強化されている場合には、その行動は去勢しても条件付けられたものになっています。つまり、去勢で雄性ホルモンを取り除いたとしても性行動パターンは完全に除去されるわけではないとうことです。去勢後のオスの性的行動は一般的に減少します。尿によるマーキング、マウンティング、オス同士の攻撃、メスを求めて徘徊などは、程度に差はあっても、去勢手術によって全て減少します。攻撃は、恐怖などの他の要因による場合は、去勢の影響を受けるかどうかについての直接的な証拠はありません。噛み付きに関する統計的研究によると、メスと比較して特に去勢されていないオスの方が噛み付く傾向があると言われています。不安、恐怖、遊びの行動、友好的な態度、狩猟能力に関しては、去勢しても変化が見られないことが研究結果によって示されています。去勢された犬は、新しい刺激に対する反応レベルが低くなり、落ち着くスピードも速くなって、前立腺ガンも起こりにくくなります。一般的に去勢された犬の方が長生きするといわれています。<不妊手術の効果>雌性ホルモンはエストロゲンと呼ばれ、性成熟期近くになるとエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモンのひとつ)を分泌する卵巣ホルモンが活性化します。卵巣にある酵素により、アンドロゲンがエストロゲンへと変化し、発情期(ヒートまたはシーズンといわれる)直前に、性ホルモンが大量に分泌されます。発情期は通常1年に2回起こり、この時期になるとメスはオスを性的に受け入れ、繁殖が可能になります。不妊手術(卵巣摘出手術)を行えば、発情も妊娠もなくなります。不妊手術をすると犬の活動レベルが下がりますので、運動量とカロリー量が手術前と変わらないのであれば、体重が増加する可能性があります。発情期に伴って活動レベルが頂点に達するといった行動の波が不妊手術によって均一化されることもあります。メスの場合は、不妊手術をしても攻撃が減少することはなく、逆に攻撃が高まる場合さえあります。注目すべきことは、早期に不妊手術をすれば乳ガンが起こりにくくなるということ、子宮蓄膿症がなくなるということ、平均的に長生きするということです。『犬のしつけ学(基礎と応用)』小西伴彦著よりplusWan犬のしつけ教室(主宰JAHA認定家庭犬インストラクター小西伴彦)金沢を拠点に、福井教室、小松教室、金沢教室、高岡教室、射水教室を展開。http://dogspluswan.inukubou.com主に問題行動改善プログラムを行い、プライベートレッスン中心のしつけ教室です。犬を飼い始めたら、犬との生活で困ったな!と感じたら、お気軽にご相談下さい。 PR